2013年04月27日

山芍薬

ぼくはきみに逢いたくて
此処まで辿りついてきた

無造作に伸びた 
さえぎる太い枝をかきわけて
険しく長い登り道 
尖った岩の上を渡り歩いて 
ぼくはきみに逢うためにここまで
辿りついてきたけれど

華奢な茎が風に揺れ 
萌葱の葉が手を伸ばし 
はらはら落ちる白い花びら 
包まれていた黄色の雄蕊は
紅い雌蕊に傷み染まらせて 
此処にこわれた花びらの夢

ひとりきりで咲いていた山野の奥深く 
実を結ぶため生きいそぎ 
たまゆらの命と知りつつも 
流れる刻を遅れがけ 
散ることを選び夕陽の紅に散っていく

山芍薬のほのかな香りのみ 
ぼくは此処に縛られて 
杭に打たれる 記憶の断片 

誰にも告げられないままに
悔いに打たれた ひとひらの影
ひっそりと溶けていた 
山芍薬の白い眠りのなか






posted by 水月 りら at 23:22| | 更新情報をチェックする

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