2013年05月04日

金鳳花

にじむ月明かり 
かげりのまま揺らめいて
おぼろに溢れた千夜の風
月の影に映ろう遥かな転生の
凍えそうな涙は眠りに祈られて
さまよいの棘を葬っていた金の花粉
ためらいがちに求めていた指は
一滴の雫をあたためる

藍の夜空をしなやかに
奈落を仰ぐ小さな花
金色の薫りに魅せられて
咲き零れる鼓動にかたむく紅い月
金鳳花を照らす秘めやかな想い人
波を呼ぶ引力のように惹かれ合い
禁じられた偽りの罠をこわすたび
つながる指先から超える最果て

呼んでいたうつつの扉は
三面鏡に映る無数の果てに舞う
にぎりしめた真実は
ふれ合う時空の万華鏡
かすかくるう時の天空から
手のひらで消した叶わぬ夢の雫
漆黒の雲のまなざしに
どうか気づいていて
きよらかな毒に泣いていた
花屑を見つめた月のかがやきに
かさなり咲き誇る
金鳳花




posted by 水月 りら at 22:24| | 更新情報をチェックする

花吹雪 星吹雪

時空の吐息に目覚めた青い蕾
空のまなざしを見つめて想い出す
あなたのひと呼吸に吸い込まれ
薄紅色の花びらひらく
すべての花は天に呼ばれて
愛のそばで咲き誇る

夕暮れに映る寂しさまじり
淡い花びらに映ろう
あなたの鼓動は夕焼け色
あざやかに焼きつく赫い影
涙のようにこぼれる記憶
あなたの瞳に咲きくずれていた
枯れてゆくことを待っているよりも
花びら散らし散らし
あなたについてゆく

あなたのゆびに手折られて
抱きしめられたかいなの和みに
あまたの花びら散りばめて応えている
てのひらににぎられたまま
萎えてゆけるのなら
刺さる棘の痛みも百夜の夢になる

黄昏にひびく愛しさまじり
あなたのそばで囁けるのなら
散らす花びらは尽きることなく
茜色に目を閉じる
林檎色の熟した時空に
にじ色の星屑の雨が降る
それがあなたの答えだった

浮世を離れ夕陽に溶ける
ふたりでひとつの花になっていた
その残照はいつまでも花吹雪
愛しているという真実だけを愛している
恐れもなく乱れ散り
宵闇を包みこむ星吹雪
あなたとわたしの   




☆詩集「一蓮托生」の完成作品☆




花吹雪 (2009年詩集「一蓮托生」より)

あなたの吐息に
青い蕾は 目覚めてゆく
あなたのひと呼吸に 吸いこまれ
薄紅色の花は 咲(ひら)いてゆく

夕暮れに映る 寂しさまじり
あなたの夕焼け色の 鼓動に
淡い花びらは きらきら赫(あか)くなる

涙のように ながれる瞬間に
あなたの瞳に 咲きくずれ
枯れてゆくことを 待っているよりも
花びら散らし散らし ついてゆく

あなたの指に 手折られて
抱きしめられた 腕の温もりに
咲いてひらいて 応えていたい
てのひらに 握られたまま
萎えてゆけるのなら
刺さる棘の痛みも
七色の 虹の光になるわ

黄昏にひびく 空しさまじり
林檎色の熟した鼓動に
生まれる にわか雨
花びらは 茜色に目を閉じる

あなたのそばで 咲き誇れるのなら
あなたのために 散ってゆくこと
何にも こわくはないの




posted by 水月 りら at 00:08| | 更新情報をチェックする

2013年05月02日

柘榴

待ち人は訪れない
知っていたけど 待っていたかったの

瘤だらけの幹だから 
棘だらけの枝だから
貴方には 似合わない姿だから
貴方は ここに来てくれないのね

それでもいいの 長雨の降る六月頃
貴方のくちびると よく似た色の
花を咲かせているわ

ひと夏を越えて 秋を迎えると
きいろく紅い 実になるの
だけど あまりにすっぱくて
種が多すぎて 味わいは
ほんの ひとかけら

涙を誘う味だから ここに来てね、と
貴方に言えないだけなの
貴方の手に 届かないだけなの
このまま裂けて はじけてしまうのね

破れた果皮から ふぞろいで
血の色をした種が のぞくの
貴方がそれを見たくないと 望むのなら
熟さない果実でもいいの
果実酒に ならなくてもいいの
花も実も封じていても そばにいたかったの

木枯しが 吹いて
ひとつひとつ 葉を散らせて
いくつ季節が 流れても
ひそやかに 音もなく
流れる自然に 打たれたまま
ここに 立っているわ
ただ ひとり……




posted by 水月 りら at 21:23| | 更新情報をチェックする

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