2013年05月16日

月のとびら

わたしの月が満ちる頃
このゆり籠で命をはぐくむため
わたしはあなたに逢いに行くでしょう
しなやかな水晶のドレスを身にまとい
わたしはあなたのそばに行くでしょう

わたしのからだを包む蒼白い月の光が
素肌の色をほの白く照らすでしょう
熟れている洋梨の実を秘めるため
白いヴェールを巻きましょう
胸まで垂れた髪に
桜色の花飾りをさして
真珠を散りばめた唇と
流れる星の影を瞳にえがき
あなたにそっとほほえみましょう

たった一度限りの満月は
造花のような夢幻を裏切って
人生(とき)の流れに欠けてゆく
たった一度限りだから
貝がら色に磨いた爪で
きよらかな妖精となれるのでしょう

わたしの月が満ちる瞬間(とき)
わたしはあなたを待っているでしょう
たとえ命が実らなくても
何度も繰り返し、わたしは生まれて
あなたを迎えるために月の船を浮かべて
微睡(まどろ)むように
溶けてゆくでしょう

いずれ
干からびてゆく黎明の行方
追いかけることもなく
わたしの月は欠けはじめ

いつの日か
蒼い血を搾られることもなくなって
閉じられてゆく月の扉
朧にかすみ悲観を忘れ
幻は萎えてゆくのでしょう






posted by 水月 りら at 21:25| | 更新情報をチェックする

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