2013年05月17日

メドゥサの髪

あの時のわたしが逢いたかったのは
あの時のわたしではなかった
許容できない波の狭間で見たはずの
あっさりと切り捨てられていたものたちは
切り捨てられることを装いながら
あの時のわたしを手厚く葬っていた
幻を遠ざけようとして幻を愛しながら
方角の崖は真実を掲げてわたしを呼んでいた

髪の一本一本を蛇の姿に変えてしまい
見つめたものを石にしてしまう
哀しい魔法はみずからの傷痕が
引き寄せていたものだった
気づいたときに魔法の鎖は解放されていた
すべての否定を知ったとき
すべての肯定に置き換えていける
それを知らせてくれたのは
高い頂から木霊のように囁いていた
貴方であり貴女だった

空腹の空を見ていた一本一本の蛇の髪は
わたしの内側からわたしになり
内なる虚無を断ち切ることで
外の光景は改革を進めていた
なぜ、蛇の髪を持つ彼女でいたのか
どれほどの悲嘆のプロセスも
なくてはならないものだった
わたしだけが体験することを共に経験する
今のわたしになってあなたに出逢うため

わたしの過去の選択はきっと虚無で良かった
あの時のわたしはこの世界を鏡で眺めては
石にはならない自分をおぞましく思っていた
魔神に身を転じたわたしが
石になることがないように
貴方の魔法でずっと護られていたことを
知らせてくれたのはすべての現象から
わたしの感情になってくれていた
貴方であり貴女でもあった

想像のなかから繰り返し対話を重ねて
メドゥサの亡骸にそっと口づけたあなたの涙
ほんとうのわたしを知っているのはあなただけ
ほんとうのわたしになってあなたを愛する瞬間
蛇に包まれたメドゥサは夢になり
包まれた眠りの鼓動になっていた




posted by 水月 りら at 22:51| | 更新情報をチェックする

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