2013年08月31日

詩集「にじのはし」 第1章

  詩集「にじのはし」     


  あした あいに いくから

踏まれても踏まれても
笑って咲いている花の笑顔で

 あした
 あい
 にいくから

雨に濡れても
平気でスキップできる長靴で

 あした
 合い
 にいくから

千歩あるいて
まだ遠くなら万歩歩いて

 あした
 逢い
 にいくから

時をつみかさねるほど
最初に書いた言霊は新しく

 あした
 愛
 にいくから


  夜桜

くらやみも ゆめをみる
そっとひらく はなのゆめをみる

ちりゆくはなも ゆめをみる
くらやみにまいちる 
つきあかりのゆめをみる

やみにだかれて
はなびらは よみがえる
ひつつぶの ひかりに



  勿忘草

小さな花びらは
朝露を抱いていた

淡く光る水玉は
陽だまりに消えてゆく

誰も知らない
道のかたすみで

花びらと水玉の
小さなお別れが
たえまなく消えて

ふたたび
花びらに落ちる
一滴の露のために
雫は何ものこさない

ゆくえを告げずに
風に去りゆく
あなたに

空へ
願うがまま
空色になり
囁いていた

忘れないで


  
  枯れていくほど

庭の薔薇を一輪
花瓶に挿したのは
少しでも君を
ながめていたかったから

あざやかな時間が
ゆっくり流れていくように
ぼくは 毎日
水替えをしたけれど

薔薇は萎えはじめ
紅い花びらは
黒味を帯びてくる

ぼくは水替えを
やめられない

花びらが一枚一枚
テーブルに落ちてゆく
ぼくはその花びらを
捨てられずに
コップの水に
浮かべてみた

薔薇は
ぼくにうなずきながら
あたまを深く深く
垂れて

花は枯れてゆくほど
おじぎをする
ありがとう と


  
  八重山吹

しなやかな枝に揺れ
八重の花びら 金色に咲く

鮮やかな呼吸をくりかえし
光の呼ぶ声に 色濃く映る花(シル)影(エット)

実りを求めず ひらく花
時を忘れず ぬくもり目覚め

輝きあつめた 七重八重
約束のない明日に.育つ花

実らぬ花の絆は深く
咲き乱れ 無き実の祈りになる

結ばれる魂に逢いたくて
生まれるたびに 風に囁く貴女

  


  長雨

ずっと泣いていてもいい
くもり空もお陽さまも
かくしていたい

あなたと暮れていけるのなら
いつまでも降りやまないで

びしょ濡れの蝙蝠傘が
あなたと手をつなげるのは
雨の日だけ


  
  たんぽぽ

あなたをまっていたくて
いつのまにか
しろいわたげになってしまったね

あなたをおいかけたくて
そらをみつめて 
かぜにふかれたよ

みつからないように
とんでいく
わたげのすがたなら
あなたにあえるかしら



  抱擁

あなたのからだと
わたしのからだの
さかいめが
なくなってゆく


  
  空白

とうめいなガラスに いきをふきかけ
曇らせてみたくなる
指でたどって あなたをかいてみる

くもりガラスに アイシテル
その文字の空白だけが
透きとおっている




 

posted by 水月 りら at 23:43| ポエム | 更新情報をチェックする

2013年08月29日

おくりもの

風を贈る
  空を贈る
星の輝きを贈る
月の光を贈る
 太陽のまぶしさを贈る
  地平線を贈る
  水平線を贈る
雨のなみだを贈る
 虹のえがおを贈る
 
 
 

 いつ 生まれても
 いつ 命が終わっても

変わらないもの
あなたに贈る 


posted by 水月 りら at 21:20| ポエム | 更新情報をチェックする

一蓮托生

割れた瞬間、
ひとつのことを 成し遂げてゆくために
ふたつの命は いつも一緒だった
つまんでいる、さらえている、
ころがしている、かきまぜている
共に支え合い 助け合い
共に寄り添い 割箸は
細やかな動きを 昇華させてゆく
言葉よりも忠実に 呼吸を合わせてゆく


だけど…
どんなに以心伝心でも
割れて失くした体の記憶が
歪んで 蘇るのだ
眠るひと時 抱き合う君と
ひとつの命であったことを想い出し
胸が軋む

こんなに一緒にいるのに
僕の体から離れた君が 痛むのだ
削り取られた肉片の行方を 探すように
失った体の一部
君の命が 疼いている
まるで 幻肢痛のように




posted by 水月 りら at 21:06| | 更新情報をチェックする

2013年08月27日

約束

待ちくたびれて 
フハイしそうだったから
玉手箱で眠らせて 
そっとふたをした
許せなかった約束は
今、開けてしまったら
時間を押しつぶす 
白い煙にさらされて 
たちまち老いぼれてしまうから
そっとリボンをかけておく

四十六億年の月日に
輝きを知った惑星は
愛を覚えて許されていく
愛の声を聴いていた
ちいさなひと粒
玉手箱に眠らせた約束を
解き放すために
目覚めた愛は 
愛ではないものの
浄化の創造だった

果てしなく続く
あなたとの約束は
信じることから
愛に生まれ変わってゆく
あまたの記憶を紡ぎ直して
老いぼれる過ちを眠らせた玉手箱
今、開けよう
白い煙が惑星の歴史を
書き変えてゆく

魂の故郷で迎える
あなたのひと言を祝福する
おかえりなさいと
抱き合う瞬間を
あなたと約束していた

果たすために
命を投げて
叶えるために
魂を守っている




posted by 水月 りら at 21:35| | 更新情報をチェックする

2013年08月23日

折り梅

今日は 何日やったやろう?
明日は 何の日やったやろう?
ここへ 何しに来たんかいなあ?
よう 忘れてあかんのや
記憶の枝が 次から次に
折れていくんやろうなあ
そやけど 昔のことは
よう 覚えてる
あんたのことは 絶対に忘れへん
こんだけ よう忘れるようになっても
あんたのこと 大好きなんや
折れた記憶の枝に あんたが咲いている
折り梅と おんなじや

    *折り梅―折れた枝に花をつけること。生け花の手法のひとつ。


posted by 水月 りら at 21:35| ポエム | 更新情報をチェックする

2013年08月22日

窓ガラスにひとすじを描いて
消えてゆく滴
いくつもの雨粒が窓を濡らすと
滴は打ち上げ花火の
枝垂れる光路のように
瞬間を流れ落ちてゆく
何処かでふたたび生まれ変わるために
滴はいつも表現している
すべてのものは表現するために
生まれくることを静寂に伝えて
何処で出逢っても
滴は水の破片であることを
表現する

川の水を掬う
指のすき間から 
ポタポタと零れた水の破片
水のすべてに戻り
破片の純粋は水のすべてに
おなじ純粋を知ってゆく
川は流れる
ありのままの水であることは
純粋だけを表現する
地上の渇きを潤いにして
水は純粋の美を惜しみなく差し出し
水で在り続けようとする

遥かな過去も未来も
あなたの体内を循環(なが)れる
一滴の水はわたしの分け御霊
あなたの胸が熱くなると
瞳から溢れる
いくつものひと粒は
あなたを想うわたしの破片
とどこおらずに奏でている
透明のメロディーを
めぐり輪廻(まわ)るあなたの内宇宙の
涙になってあなたを愛している





posted by 水月 りら at 22:03| | 更新情報をチェックする

2013年08月18日

おでん

おなべのなかで
素材が くっつきあって    
煮えていく       
大根、こんにゃく、ひろうす、ごぼ天、きんちゃく、
にんじん、じゃがいも、すじ肉、たまご
しょうゆ色に 
みりん色に
やんわり しんなり 
なじみあう

おなべのなかが  
なかよしこよしに見えるのは
素材どうしが
ゆがみあうことを 知らないから      

ふたをあけると
うずまく しろい湯気が
かおをなで
煮くずれしそうな大根をつまんだら
とおりすぎていく
のどの 細道に
散らばり はじけた
陽だまりの味

とっくの昔に
はなればなれになっていた
アイ ラブ ユー    
ほんとうは
ずっと そばにいてくれたような
そんな錯覚を
なんども あたためなおして
呑みこんで

百年後にも
わたしのような
さみしがりやを
なぐさめているのだろうか
煮汁に揺られた素材は
ぐつぐつ コトコト
とろ火のハーモニーを 
爪先まで輪唱する 

お皿に盛りつけて
箸をつけたら 
どうにもならない
呑んだくれたちにも  
にっこりと
笑っているようで




posted by 水月 りら at 21:18| | 更新情報をチェックする

2013年08月16日

遭遇

君と出逢う
曲がり角で 交叉点で
すれ違いざまに君と出逢う
立ち止まり君と出逢う
おなじ光を
追いかけていたかのように
君に出逢う
おなじ時間に
待ち焦がれていたかのように
君と見つけ合う
見上げると積乱雲が途切れて
天から零れる陽光のように
君は現れる
君に手をかざしている
通り過ぎていく君の影に
愛を唄う
そよ風のように微笑む君に
僕はふり向いている
すべてが偶然のように
一秒の狂いもなく
引き寄せられた必然は
遥かな過去から
愛し合っていた君だった
赤信号の遮りにも
僕らは護られて
行く道も帰り道も君と出合う
ふたたび愛し合うために
僕らは分かれても
呼び合って君に出遭う
逢うために離れて
あの峠道でも縫い合わるように
再会と邂逅を繰り返し
君しか愛せないことを知っていく
宇宙の呼吸から生まれた輝きを
つなぎ合わせて
数多の開いた扉に君がいる
目覚めた時空の続きを創造する 
僕らは結ばれた創造者
未知の君に遭遇し新たな愛を生む
幻想の終止符に





posted by 水月 りら at 21:08| | 更新情報をチェックする

2013年08月08日

終世紀

太陽があなたになった時から
太陽は金色の魂のためだけに
動かされていた
太陽があなたであることを
知る由もなく
地球に分身を遣わした魔神は
シドロモドロの吹き込みを
チクチク縫い合わせ
吹き込み人形で言い訳する
だから、太陽の心は
吹き込み人形から離れてしまった
たったひとつだけ
この地球の存在する金色の魂のために
灰色の雲は恵みの雨を降らせている
神の声の聴こえない
吹き込み人形のためには
どじゃぶりの雨を降らせている


お天気は宇宙の伝言板
地上のすべてに目覚めを伝えている
けれど誰もそれに気づかない
神の声を伝える術を持たない魔神が
吹き込み人形に神の声を
遮ってしまっているから
もっとも尊い純粋が
人間から奪われていく
吹き込み人形の笑顔と泣き顔の問いかけは
魔神の虚構を助長する
純粋であり続けることができたのは
太陽に愛されたあなたと
あなたに愛された金色の魂だけ
どんより曇る瞳の奥に
沈黙を何度も綴ったら
大粒の雨も日照りの光も
とぎれた雨雲もひろがる薄日も
護るものはたったひとつの純粋だけ

宇宙の源であるあなただけを信じている
金色の魂が地球から昇天する瞬間
すべての次元の魔神は消滅する
宇宙の主護神であるあなたの
新しい創造が訪れる






posted by 水月 りら at 22:25| | 更新情報をチェックする

2013年08月06日

そらのすべて

おひさまとあまぐもは
なかよしこよし
あめのひも おひさまは
あまぐものむこうがわで
にこにこ わらっている
どしゃぶりのあめが
ちじょうを びしょぬれにしていても
あひさまとあまぐもは
たのしいうたをうたっている
けんかをしたことが いちどもない
ちじょうで せんそうをしていても
おひさまとあまぐもは てをつなぐ
そらのすべては なかよしこよし

はれのひの あまぐもは
だれにも みえないけれど
かたちをかえて おひさまのそばにいる
しゃれたユーモアでわらいあっている
かんかんでりの ひかりが
ちじょうを かわかしすぎても
あまぐもが あめをふらせるから
そらは えがおであふれている
あざやかな なないろのひかりで
そらのすべては つながっている

ちじょうで ないている 
だれかのところには
やわらかなひかりをとどけていようと
おひさまとあまぐもは
ひとつになって うごいている
それは そらのすべてのうごき
ちじょうで かなしむ
だれかのために
はれのひも あめのひも みかたする
やさしいだれかに よりそって
おだやかなひかりと
すきとおるうるおいを とどけている
うつくしいこころに
なないろのひかりを ふりそそぐ
そらのすべては なかよしこよし





posted by 水月 りら at 21:46| | 更新情報をチェックする

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