2013年09月16日

海の瞳に

戦士を見送る 桜の花は
海のまつ毛に 咲き乱れ
海のまばたきに 時を知り
海の瞳に 散っていく


posted by 水月 りら at 21:02| ポエム | 更新情報をチェックする

口にしなくても

くろい雲に
かくれている 星を
見つけている  あなた

雨のように
枯れかけた花にも
しずくを 降り注ぐ

足元に咲いている
ちいさな雑草を
かがんで さがしている

風で消えそうな
ろうそくの炎があれば
りょう手をかざし
炎を つつみこむ

拍手をあびながら
歌うことよりも
だだっ広い原っぱで
ちいさな虫に 
歌うことが 好きなあなた

そんなあなたに
口にだして 言えないこと
たくさん あります

蜘蛛の糸のような
かよわい距離が ことばで
こわれてしまわないように

いつまでも あなたの歌が
大地を這って
歌い継がれていくことを
ねがいます

そして
あなたの ひたいを
流れ落ちる ひとつぶの
汗で いさせてください

たったひとつの
わがままです

流れ落ちる汗なら
じゃまに ならないでしょう
いつでも 消えていけるでしょう

口にしなくても
あなたのそばに いられそうだから





posted by 水月 りら at 21:00| ポエム | 更新情報をチェックする

金木犀

金木犀の薫り たちこめる頃
薫る風にさそわれて
南からあなたはやってきた
北からわたしはたどりついてきた
彼方から届く
きよらかな薫りに魅せられて 
ぐうぜんに出逢う
あなたとわたし

おなじ薫りに惹きつけられ
おなじ花影(はな)に見とれて
異国のことばをかわし
惹かれあう

時は重なり 背丈の伸びた木に
金色の花が満開に咲いた頃
匂う風にいざなわれ
交叉点を立ち止まる
ただよう薫りをたぐりよせ
三叉路にふりかえる
黄昏のいたずらにはぐれても
薫る行方をたしかめて
再び ぐうぜんに出逢う
あなたとわたし

おなじ薫りをもとめあい
おなじ空気をすいこんで
ことなる温度をつたえあう

花の薫りがこぼれ散り
木陰が金の亡がらに埋もれても
おなじ花風に惹かれあい
おなじ指先をむすびあい
ぐうぜんに出逢う
あなたとわたし





posted by 水月 りら at 20:54| | 更新情報をチェックする

バタフライ―ストライプの羽根―

問いかけに答えられなくて
したたり落ちた黒い雫
呼びかけに答えていたくて
滲みでた白い泡
あなたを困らせていたね

さなぎのまま
そばに いたかったよ

涙を呑みこんだ偽りに
どんな裁きを 受けても
恐くは ないよ

ひらく羽根の純白に
あなたが見つめる空を
編みこんで
とじる羽根の漆黒に
あなたを濡らす雨だれが
沁みこんで

あなたがくれた縞(スト)模様(ライプ)

天にほどいて
野を飛び
花から葉へ
灰色の地に
舞い乱れ
奈落にむすび
風に向かい
雨に打たれ
吹き荒れる嵐に
舞い上がる


posted by 水月 りら at 20:50| ポエム | 更新情報をチェックする

木漏れ日

―枯葉たちー

だれも知らない 
雑木林には
枯葉たちの
眠る場所がある

折れた小枝
墜ちた木の実
ちぎれた枯葉

要らなくなったものたちが
木の根元で しずかに
眠っている
土に溶けて
腐葉土になり
木が生きていく力に
生まれ変わってゆくのだろう

繁る葉の間から
射す 木漏れ日
光は 分け隔てなく
眠ってゆくものたちにも
そっと 降り注いでいる



―白妙菊―

白妙菊の葉先に
降りそそぐ 木漏れ日

形のない光は
形あるものに 息を吹きこみ
目覚めた 銀の縁どりは
ひと束の 息を吐く

ちいさな指先に こぼれた光は
ちいさな指先に 生まれかわる
形ある 人の体に
形のない魂が 宿っているように

木漏れ日は 魂を降りそそぐ
白妙菊の葉先が 光る
はじめて覚えた 白い言葉
輝きだした 命の輪郭



ーせんめいに あいまいにー

窓を見つめた光が
まぶしくて うつむいた

足元に こぼれた光
窓の分身を 床に落として
まっすぐな影と
らせんの影が
交叉する

光は なんて
おおらかなのだろう
すべてのものの影を
そのまま 映さない

窓の形も テーブルの脚も
ガラスにゆれる 妖精たちも
それぞれの影を 描いている
かくれた足元に

のぴやかな光は
たしかな存在を照らし
影の命を 映しだす
せんめいに
あいまいに




ーよつばのクローバー―


くったくが なくて
きさくで きどらなくて
こかげで ほほえんでいる
ひだまりを りょうてでつつみ

どこにでも はえているようで
どこにでも はえていなくて

だれにでも うたえそうで
だれにも うたえないうたを

よつばのクローバーを
まとう うたひめは

スプーンいっぱいの こもれびで
そらいっぱいに あなたにうたっている

つちにこだまする
あしあとのメロディーを
ちきゅうのうらがわまで
あなたにうたっている


キャンディひとつぶの こもれびで



posted by 水月 りら at 20:44| ポエム | 更新情報をチェックする

2013年09月14日

水面

光がこぼれ落ちた水面は
世界のひと粒を 反射する
小さな一点の光景を
果てしなく底なしの
モノクロームの実像に変えてゆく
まるで 偽りを知らない光と影のように

水面に生まれ変わる
ひと粒の世界
ひとかけらの空
ひとにぎりの風景
右が左に 左が右に
方角をさかさまに
水のひとみに映るものを
鏡のように投影する

水中に泳ぐアカメダカの 
しずかなゆるぎに
ゆっくりと 添いながら
呑みこんだ 命のままに



posted by 水月 りら at 17:18| | 更新情報をチェックする

エプロンのポケット

エプロンのポケットには
あなたの歌が詰まっている
あなたの愛したメロディーは
ポケットから伝わって
口ずさむとあふれだす
しあわせな わたしへと

エプロンのポケットには
スパイス一本が配達される
甘いものにも辛いものにも
ひとふりする かくし味
ひとつまみの かくれた味が
甘さも辛さも引き立てて
ポケットいっぱいの
しあわせがいざなう
あなたの笑顔

エプロンのポケットには
天使のコインが眠っている
だいじなものばかりが
天使に守られて
だいじなぬくもりを
いつでも取り出せるように
天使のコインになって
待っている

エプロンのポケットには 
どこでも開く言葉の鍵を入れておく
あなたから届く言葉の卵
ポケットの中でずっとあたためて
卵を孵し愛をふりそそぐ
成熟するほど麗しくなる言葉
あなたに捧げる宝物

エプロンのポケットには
いつもいつも あなたを入れておく
お鍋にだし汁と野菜を入れて
一番美味しくなるように 
思い出したあなたと唄う歌
お鍋の中もグツグツ笑っている
エプロンのポケットに
あふれだす愛の魔法
しあわせの呪文は旨味になって
空っぽを満たしていく









posted by 水月 りら at 17:06| ポエム | 更新情報をチェックする

失くした翼

かつては大空を
飛び回っていたけれど
今はもう 片方だけ
翼をなくして
飛べない鳥がいる

ふたつの翼で空が飛べていた
そんな当たり前のことは
当たり前でなくなってから
見えない光のお蔭であったと
気づいていく

ひとつ失えば稲妻が一瞬に
大木を裂いてしまうような
激しい変化に歪められたのは
捨てられない過去の
偽りの輝きだった

失った翼の幻肢痛 
毎夜 疼くたびに
無い翼の拍動が蘇り
打ちひしがれては
在る体の全てを呼んでいる
ひと晩中眠れずに癒えない傷を
てのひらで撫でつづける日々

朝日に抱きしめられて鳥は
ほんとうの自分に
素直になっていく

「人に会いたくなるのに
人とすれ違いたくないの
人が恋しくなるのに
誰とも出会いたくないの
人と話しがしたいのに
人に見られたくないの
ここで 道行く人を見ているわ
誰にも見られない場所から
見ているだけでいいの」

少し笑って呟く鳥
飛べなくても見つけられるものもあるだろう
飛べないから見つかるものもあるだろう

心の傷がふさがっても
包帯は巻き続けているだろう
失って輝いた気づき
消えない傷痕に沈まぬように

ひと粒の涙がこぼれ落ちるほど
傷痕に巻かれた白い包帯は
光の勲章に変わっていく




posted by 水月 りら at 15:11| | 更新情報をチェックする

秋桜

秋雨に濡れる秋桜の群れ
芯のない細さゆえに
茎はかたむき うつむいて
雨を凌ぐ

空をめざし伸びていた
たかく見上げようとするほど
うなだれ 足元を見つめてしまう
細い茎の宿命に
花の微笑はよく似合う

強く根づく花妖精
折れない強さよりも
折れても 尚 咲き乱れ
折れる強さを知ってゆく
ありのままに弱く
風に吹かれて
ありのままに強く
雨に打たれて

愛しい人を待つために
色とりどりの花びらは
爪化粧(ネイル)を飾る
きよらかな貴女の爪になる
雨上がりを待ち焦がれて
純白の傘をさす
貴女のゆびさきにも











posted by 水月 りら at 14:38| | 更新情報をチェックする

木霊

山と山は 
呼び合っている
「ヤッホー」と 
遠くの山に呼びかけたら 
かならず
「ヤッホー」と 
返事が返ってくる

「ヤッホー」
応えている声が
いくつも いくつも
かならず
約束していなくても
かならず

形にあらわれなくても
姿が見えなくても
つながっているものは
木霊する

木の精霊が
心の糸に宿っている
見えない糸のつながりを
知らせる木霊の声

山の向こう
あなたを呼んで
返事をしているのは
誰かしら
くり返し くり返し

人間が深呼吸していても
山と山は呼び合っている
木霊が結ぶ
以心伝心



posted by 水月 りら at 14:09| | 更新情報をチェックする

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