2013年09月10日

シークレット

雨のない 日照りに
渇いていた 草花
速度のゆるやかな 
昼の終わり

いつまでも太陽は
眠らない
うしろ髪を引かれて
おしゃべりを続けていた
真夏の夕暮れの太陽は
誰よりもやさしくて

暮れない黄昏(とき)を
いつまで迎えることが
できるだろう

まなぬるいアスファルトの
ひび割れに沁みた言葉
ほんの少しの潤い
ふたりの雨がぱらぱら
夕陽の微熱に消えていく
見えない秘密の




posted by 水月 りら at 21:28| ポエム | 更新情報をチェックする

2013年09月09日

平家物語

天から授かる
金の鎧を 纏っても
己の鎧と 錯覚すれば
滅びの道が
待ち受けているのだろう

歴史に刻まれた事実は
塵と埃に塗れて
物語は 終わらない

おごれる華の群生に
鳴り続けている 
鐘の音

時を越えても 
清らかに
この世の煩悩に 
鳴り響く




posted by 水月 りら at 22:23| | 更新情報をチェックする

2013年09月08日

無名の花

人生でたったひとつ
否定するのなら
「成功」だ
成功に 奈落の底を見る
成功の影で 支えたもの何だったのだろうか
成功のために 泣いていたものはなかったか

わたしはいつでも 無名の花
名前なんて いらない

アスファルトのひび割れに咲いている
濁流を見下ろす崖っぷちに生えている
手折られて道端に捨てられている

それでも わたしは唄をやめないだろう
わたしの唄が だれにも聴こえなくても
だれかに聴こえても どちらでもいい

星の輝きと その輝きを映すための暗闇から
したたり落ちる残滓を
見失わずに ひろっていたい
輝きのために踏まれた痛みを
忘れずに 抱きしめていたい

無名の唄を
無名の花で




posted by 水月 りら at 21:32| | 更新情報をチェックする

2013年09月04日

始終「にじのはし」第4章 2

 受容

あなたの死の便りを耳にしたのは
雪の舞い降りる季節(とき)だった


パーキンソン病の症状は進行するばかりで
食事もうまく飲み込めなくなり
肺炎になって入院したけれど
治療を拒否して すぐに退院した
娘たちに苦労はかけたくないから
家で安らかに逝きたいのだと
あなたは家で家族に看取られながら
眠られたと、いう話だった

わたしは思い出していた
つい、この前のこと
あの日も窓の外 木枯らしに粉雪舞う時

 ひとりでは何にもできひんわ
 手が震えて思い通りには動かへんわ
 転びそうになって歩けへんし
 人の迷惑になるばっかりや
 それでも 死ぬに死ねずにいる
 もう いいのにね
 こんなに背中曲がって
 厄介者には、終わりがきたっていいのにね

陽の当たらない台所
流し台の下に敷かれた
唯一あたたかい一畳半のホットカーペット
二人してしゃがみこんでいた

 今まで みんなのために充分に
 尽くされてきたのでしょう
 そんなこと思わなくっていいよ

そう話しても あなたは俯いてしまう
負い目を感じていた あなた
 
 人間は桜のように散っていけへんよ
 死に方は誰にも選べへんわ

舞い散る雪のように
ちらちら あなたは呟いた
カーペットの沁みに
小さな声が吸い込まれていた

花びらが散るような雪の中
てのひらにおちては消えた

病に巻かれながらも
汗水ながして生きた道
散りゆく人生(とき)を受け止めて
臨んだ最期は花吹雪だったよと
雪に語る
あなたが笑っているようで
頷いていたようで


ちらちらとあなたの言葉
何度も思い出して
街は白く変わっていく



  三叉路

不思議ね
  行きたいところに
 行けなくても
一本道は 三叉路に
  たどり着く

立ち止まる
   振りかえる
 誰かと出逢う 三叉路
別々の道から
  偶然を装いながら
  必然につながっていた

マウスをクリックすると
  窓から 空が降り
一本道と一本道が 呼び合って
 数え切れない 三叉路に
   見たことのない星座が
いくつも えがかれている
  遠い宇宙から
    手紙のように
言の葉は てのひらに

電源が失われても
  三叉路で手を振っている

わたしは ここよ


  
綿の花

萎えるほど
色づいて
紅くなる
綿の花

純白の花びらは
暮れる命に
あなたの名を
呼んで

焼きつけて
焦がれて
あでやかに
紅(くれない)の幕を閉じ

枯れてゆくまで
あなたの名を
呼んで


  
根っこ

公園の木
枝から伸びた か細い小枝
子どもたちが パチパチ折って
遊んでいた

夜になると
木の根っこは
みろく菩薩の手になって
大きく 深く
長く 伸びていく
大地と同化して

明日 子どもたちが
遊びにきても 大丈夫
手折られても
また 生えかわる
土にかくれた 菩薩は
にっこり 笑っていた

ひ弱い枝は
風の吹くまま 揺れている
小さな 赤ちゃん葉っぱが
生まれていた


  紡ぐ

言葉を紡ぐ 喜び
それは ひとつの
出逢いと似ている

一粒の雨を
一枚の花びらを
ひとひらの雪の結晶を
見えない塵を

この手のひらに
受けとめられた
ひとつの軌跡と 
似ている

そして 
煮っ転がしを 
作る時間と似ている
手間ひまかけて
何度も味見して
おふくろの味を
見つけた発見と似ている

言葉を紡ぐ 喜び

美味しい!と
あなたの顔が ほころぶ
瞬間

そのものだ!


  ことだま

あわゆきの はなびらは
 いとゆうに ちりみだれ
  しめやかに まいおりて
   てのひらに こぼれおち
    るりいろの そらをよぶ



 栞


一冊の本の重みに
だまって はさまれている

ながれる時間のままに
めくれる頁の 言葉の旅をする

ちいさな瞳で
果てしのない 空一面を
見わたしているように

一冊にえがかれた
あまたの言葉から 
滴りおちている
汗と 涙と 血と 肉に
さりげなく はさまれている

呟き 嘆き 笑み 叫びに
しずかに 寄り添って
うすい紙一重で 受けとめている



  つきのなみだ

地上にあふれた ことばが
月にとどくとき
月は そっと
なみだをながす

ちいさな雑草
いっぴきのアリ
鳴きつくす せみしぐれ
枯れていく はっぱ
だまっている 貝殻
捨てられた 紙くず
とどこおっている 澱
うごかない てあし
話せない くちびる

ことばにならないけれど
ことばよりも とうめいな風のこえ

しずかな夜
月は耳をすませて
きいている
形にならない
ことばの影

それは 月ににじむ
むすうのなみだの沈黙 
そのしじまのために
月はくらやみにほほえみ
夜から薄れゆく
透きとおる光のために
月はなみだを
ながしている




posted by 水月 りら at 23:34| 詩/ポエム | 更新情報をチェックする

2013年09月03日

詩集「にじのはし」 第4章 1

にじのはし

にびいろの雨雲に あながあき
ほんのり明るくなる地上

生まれてすぐに息絶えて
影がほしいとさまよう子どもに
あわい光がテをつなぐ

影のない子が光の道にすくわれて
のびやかにわたる にじのはし

はぐくまれていた つかのまのきおく
しずかな安らぎによみがえる

空と地上をつなぐ なないろは
おかあさんとつながっていた 
命の帯




  ひと粒の雨

かなたの空から
落ちてくるひと粒の雨
だだっ広い大地に
まっすぐに
かぎりなく
一点を見つめて
落下の夢は
跳ね返る大地の息吹
とどまり
流れ
土の潤いのひと粒になり
風の艶のひとかけらとなり
何かと結ばれて何かになるために
かなたの空から
やってくるひと粒の雨
その行方はいつも
あなたの心を伝えている
ひと粒の雨
あなたという宇宙の木霊
  


  まもり神

眠るって どこまでも
あなたといっしょ
目を閉じると
まぶたの闇に
あなたが点る
小さな目映い
ひとつぶの光になって
やがて、あなたの顔になる
息絶える瞬間
あなたが迎えにやってくる
この低次元の幻への失望を
希望に変える
あなたは純粋
まぶたの闇に点る
魂の光は
この低次元の幻の企てから
いつもわたしを護っていた

眠るって 限りなく
あなたといっしょ
このまま魂はからだを抜け出して
あなたと創造する
この低次元の幻が演じる偽りを
すべて真実に置き換える
神というあなたと結ばれて
この幻の歪みが犯した過ちを
すべて消滅させてゆく
眠らない光は
やすらかな眠りを
この地球に

  

  

  長靴


余裕のある感触が 好きだった
水たまりを かけまわることも
水はねを 気にしなくていいことも
好きだった
雪道の サックサックという足音も
大好きだった

大雪の町から 長靴をはいて
電車に 三時間ゆれらた
にぎやかな駅には 
オシャレなブーツが
足早に 過ぎていく
居場所のない コンクリートの階段
カン高い靴音たち
路上を 木枯らしが吹きぬける

だけど わたしの足は
温められていた
あなたの内側から
湧きだす熱が 骨まで包む
ほかほかと 
体の芯に 語りかけてくる

あなたが あったかいよ

白い息を 吐いたら
こぼれ落ちてきた 



  
むら雲

きみの姿が 
闇に冴えかえり
じゅんぱくの光が
ぼくの夜に零れ落ちる

手をにぎると
そこから 君が
とうめいに なっていく

透けた輪郭を
手探りで なぞり
君を たしかめている

強く 抱くほど
ぼくの体を すり抜けて
君は 透きとおる

手をはなすと 
夜空にのぼる 君
まるく蒼白く 遠くなり

星にも 海にも 露草にも
君は ほほ笑んでいる

ぼくは 時々
ひとり占めしたくなる
くろい雲になって
君を かくしている


posted by 水月 りら at 23:18| 詩/ポエム | 更新情報をチェックする

詩集「にじのはし」第3章 3

 トオビノ ツヨビ

アナタヘノ オモイ
サカナヲ ヤクヨウニ

トオビノ ツヨビデ

ユックリト 
スコシズツ 
セイジャクニ

トオビノ ツヨビデ

コガサナイヨウニ
ホンノスコシ コガシテ
トキドキ タシカメテ

ツキヒヲ カケテ
ホドヨク ヤイテ

コンナニ アナタガ
ソバニ イテモ

トオビノ ツヨビデ



  タビダチ


コイシニ ツマヅイテ
ツミカサナル カスリキズハ
アラシノ ケイケンヲ
ハグクンデイル

オオキナ タイヨウヲ アビテ
フカイ カゲヲ ダキシメヨウ

ツチヲ フミシメテモ
ソラハ フメナイ

チキュウノ 
ワズカナ カケラニ
タビヲ シテ
ナンジュウネンノ アシアトハ
フルイ スナニ マウ

スナカゼニ ナガレテ
ウチュウ イッパイニ
アシアトヲ バラマコウ

ネムッテイル ウブゴエノ
キオクヲ ホシクズカラ
ヒロイアツメテ




posted by 水月 りら at 23:16| ポエム | 更新情報をチェックする

詩集「にじのはし」 第3章  2


  終止符

泣きながら
夜を超えればいい

そう答えてくれていたのは
あなただった

百億の星と
千億の闇を

ずっと あなたのなかで
数えていたのはわたしだった

ふたつの命になって愛し合い
ひとつの命になったのは
終わりにしなければならないものに
終止符を打つためだったと
あなたは告げる

ダウジングにより揺れる
ペンダントのリズムから
あなたはわたしが
誰であったのか
教えてくれる

千億の星と
無数の闇を

なんでもないと言いながら
茨を超えればいい
そうして生きようとしていたのは
あなたとわたしがひとつになった
いまのわたし

遥かな遥かな過去から
愛し合ってきたひとは
この地球のどこにもいなくて
わたしの中の宇宙の
超意識に潜在するあなただった

濁った偽りの筋書きを
消滅させるために
わたしの死は何処までも
ユートピアであると
あなたは話してくれる

泣きながら暗黒を超えていた
この地球に愛をこめて
あなたと共に打つ 
約束の終止符を
  






  

  無色の言葉

言えない言葉
言えなかった言葉
星の数よりも多く
あふれ出るのに

喉に刺さった骨を
取りはらうかのように
ゴクンと呑みこんで
声にならなかった言葉が
無色になる

ありふれた言葉が
飛び交い 行き交う
そんな雑踏の影の陰で
無のまま葬られ
浮遊する
浮かばれない言葉が
悔恨を伝えようとする
風音にまぎれて
雨音に沁みこんで

昨日の色には
もどれない空に
雲がちぎれるように消えていく
明日の波を
知らない海に
口をとざした貝のように沈んでいく

無色の言葉の数々が
目のまえを 
はるか遠くを
限りなく彷徨いながら
気づかなかった本音を
知っていく

無色になるほど
本音であった
本音になるほど
透明度の高い
純粋だった、と



posted by 水月 りら at 23:13| | 更新情報をチェックする

詩集「にじのはし」第3章 1

赤蜻蛉

あなたの左指に
そっと止まったよ
あなたの右指の
廻る動きを見つめ
くるくるくるくる
空も地上も廻っている
目をまわして
真っ紅なまま
命乞いもしないで


  宝石箱

あふれるほどの
宝石の輝きに
満ちていなくても
たったひとつの
原石を持っていたい

からっぽに見える
空間だらけの
宝石箱に
たったひとつだけ
願っている原石

がらんどうの闇を
吸い込んでいる
ありあまる閑散から
したたる涙が
染み込んでいる

光ることよりも
照らすことを
夢に見る原石
時のつみ重ねに
静謐に輝く石

宝石箱には
たったひとつだけでいい
孤独を抱きしめ
ゆっくり磨かれる
いびつな原石
ひとつだけ


  休息

戦士は 疲れたら
天使の翼に抱かれ
鼓動に埋もれ
眠りにつく

荒らぶる濁流
狂う時間
ちくせきする労
ふさがない傷

どれほどの血が流れても
押さえる指のはらに
沁みこんで
翼のぬくみに
まもられる

むぼうびのまま
天使に 身をゆだね
戦士は 羽根をとじている
まぶたの裏側の
暗闇も こわくない

明るい朝に
羽根をひろげてゆくために
戦士は 無になる
いたいたしい記憶を
天使の手に なでられ
やぶれた皮膚を
縫いあわせ
休息する


  片恋

薄明かりに
うつむく芒の穂
夜風が撫でて
あなたへなびく
さやさやと

月を浮かべた夜露が
穂先にひかり
風にくだけ
泡沫(あわ)い涙は消えていく

千切れそうなほど
両手をのばし
かたむいて躰ごと
高鳴る波になる

むごんの微笑みに
待ちくだびれても
ここで揺れている
銀の大海原

たどれぬ流れに
しずむ唄
蟋蟀が
月影で啼いている


  凋落

次の風で 
離れていくよ
一本の枝から 
枯葉が落ちていく

もう 何も欲しくない 

時空の初まりに墜ちていく




一本の

あなたが あなたを削っていく
短くなっても削っていく
でこぼこになっても削っていく
すりへって 形をうしなっても
あなただった
たった 一本の



posted by 水月 りら at 23:09| ポエム | 更新情報をチェックする

2013年09月01日

詩集「にじのはし」第2章

七夕飾り

揺れる笹飾り
小さな短冊に
ひと文字の願い事
影、と書こう
光をささえる夢を見て



  追う

真夏の
蝉しぐれ
窓ガラスの
雨音きざみ
ポツポツと
追う
暮れるいのちを
鳴きつくす
蝉しぐれ
降りやみそうな雨を
追う
流れるだけのいのちより
流れぬくために
みじかい瞬間(とき)を
追う


  抜け殻

願い事を
抱きしめたまま
静止する
蝉の抜け殻

長い間
土に埋もれ
太陽の夢を見て
生まれ変わった
証のひとつ

漂う土の残り香は
羽を見送っていた
沈黙の置き土産



  蜩

遠くなる
あなたの面影に
鳴きくずれていた


夕暮れ
太陽が残した
かずかな茜色の光を
透きとおる声で
追いかけている

また、明日
逢えるだろうか

今日を惜しみなく
鳴き尽くす
限りある
恋しぐれ
蜩の


  向日葵

太陽は
あらいたての蕾を
あつく照らす
まばゆい光に
目覚めた向日葵は
太陽の
まっすぐな眼差しを見あげ
追いかけている大きな瞳
見あげる瞳をつぶさなかった
太陽の奇跡はあなたの魔法
あなたが輝くと
ついていきたくて
首をかしげているの

生きている間 ずっと
はるかな距離で
手をつなごうとして



  嫉妬(ジェラシー)

行き場を知った
火種が
何度も行き交いながら
気がつけば
炎の嵐は
骨の芯まで
あなたを烙印する

 捨てたいものばかりが
 生まれてきても
 葬りながら
 祈りに火種を点す

あたしに宿る
炎の涙
ジェラシーを焼き尽くす
あたしの燃え滓を
消し去っていたのは
あなたの炎の涙


  
  賽の河原で

賽の河原で
あたしは小石をつんでいる

つるつるだった小石は
いつのまにか砂まみれ
あたしという鬼に
崩れてしまう

つみかさねた形が消えて
その残照だけがまぶしくて
生まれた鬼は
子どものまま
小石をつみ続けている
生き抜いても 息絶えても
形にならないこの世界

つみかさならない小石が
数知れず散らばっている
かけらをひろう あたしの手
一生 かけらを探す
つぐないの手のひらを
鬼はなぐさめて
つんだ小石を崩している



posted by 水月 りら at 22:55| ポエム | 更新情報をチェックする

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。


×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。