2013年09月01日

詩集「にじのはし」第2章

七夕飾り

揺れる笹飾り
小さな短冊に
ひと文字の願い事
影、と書こう
光をささえる夢を見て



  追う

真夏の
蝉しぐれ
窓ガラスの
雨音きざみ
ポツポツと
追う
暮れるいのちを
鳴きつくす
蝉しぐれ
降りやみそうな雨を
追う
流れるだけのいのちより
流れぬくために
みじかい瞬間(とき)を
追う


  抜け殻

願い事を
抱きしめたまま
静止する
蝉の抜け殻

長い間
土に埋もれ
太陽の夢を見て
生まれ変わった
証のひとつ

漂う土の残り香は
羽を見送っていた
沈黙の置き土産



  蜩

遠くなる
あなたの面影に
鳴きくずれていた


夕暮れ
太陽が残した
かずかな茜色の光を
透きとおる声で
追いかけている

また、明日
逢えるだろうか

今日を惜しみなく
鳴き尽くす
限りある
恋しぐれ
蜩の


  向日葵

太陽は
あらいたての蕾を
あつく照らす
まばゆい光に
目覚めた向日葵は
太陽の
まっすぐな眼差しを見あげ
追いかけている大きな瞳
見あげる瞳をつぶさなかった
太陽の奇跡はあなたの魔法
あなたが輝くと
ついていきたくて
首をかしげているの

生きている間 ずっと
はるかな距離で
手をつなごうとして



  嫉妬(ジェラシー)

行き場を知った
火種が
何度も行き交いながら
気がつけば
炎の嵐は
骨の芯まで
あなたを烙印する

 捨てたいものばかりが
 生まれてきても
 葬りながら
 祈りに火種を点す

あたしに宿る
炎の涙
ジェラシーを焼き尽くす
あたしの燃え滓を
消し去っていたのは
あなたの炎の涙


  
  賽の河原で

賽の河原で
あたしは小石をつんでいる

つるつるだった小石は
いつのまにか砂まみれ
あたしという鬼に
崩れてしまう

つみかさねた形が消えて
その残照だけがまぶしくて
生まれた鬼は
子どものまま
小石をつみ続けている
生き抜いても 息絶えても
形にならないこの世界

つみかさならない小石が
数知れず散らばっている
かけらをひろう あたしの手
一生 かけらを探す
つぐないの手のひらを
鬼はなぐさめて
つんだ小石を崩している



posted by 水月 りら at 22:55| ポエム | 更新情報をチェックする

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