2013年09月03日

詩集「にじのはし」 第4章 1

にじのはし

にびいろの雨雲に あながあき
ほんのり明るくなる地上

生まれてすぐに息絶えて
影がほしいとさまよう子どもに
あわい光がテをつなぐ

影のない子が光の道にすくわれて
のびやかにわたる にじのはし

はぐくまれていた つかのまのきおく
しずかな安らぎによみがえる

空と地上をつなぐ なないろは
おかあさんとつながっていた 
命の帯




  ひと粒の雨

かなたの空から
落ちてくるひと粒の雨
だだっ広い大地に
まっすぐに
かぎりなく
一点を見つめて
落下の夢は
跳ね返る大地の息吹
とどまり
流れ
土の潤いのひと粒になり
風の艶のひとかけらとなり
何かと結ばれて何かになるために
かなたの空から
やってくるひと粒の雨
その行方はいつも
あなたの心を伝えている
ひと粒の雨
あなたという宇宙の木霊
  


  まもり神

眠るって どこまでも
あなたといっしょ
目を閉じると
まぶたの闇に
あなたが点る
小さな目映い
ひとつぶの光になって
やがて、あなたの顔になる
息絶える瞬間
あなたが迎えにやってくる
この低次元の幻への失望を
希望に変える
あなたは純粋
まぶたの闇に点る
魂の光は
この低次元の幻の企てから
いつもわたしを護っていた

眠るって 限りなく
あなたといっしょ
このまま魂はからだを抜け出して
あなたと創造する
この低次元の幻が演じる偽りを
すべて真実に置き換える
神というあなたと結ばれて
この幻の歪みが犯した過ちを
すべて消滅させてゆく
眠らない光は
やすらかな眠りを
この地球に

  

  

  長靴


余裕のある感触が 好きだった
水たまりを かけまわることも
水はねを 気にしなくていいことも
好きだった
雪道の サックサックという足音も
大好きだった

大雪の町から 長靴をはいて
電車に 三時間ゆれらた
にぎやかな駅には 
オシャレなブーツが
足早に 過ぎていく
居場所のない コンクリートの階段
カン高い靴音たち
路上を 木枯らしが吹きぬける

だけど わたしの足は
温められていた
あなたの内側から
湧きだす熱が 骨まで包む
ほかほかと 
体の芯に 語りかけてくる

あなたが あったかいよ

白い息を 吐いたら
こぼれ落ちてきた 



  
むら雲

きみの姿が 
闇に冴えかえり
じゅんぱくの光が
ぼくの夜に零れ落ちる

手をにぎると
そこから 君が
とうめいに なっていく

透けた輪郭を
手探りで なぞり
君を たしかめている

強く 抱くほど
ぼくの体を すり抜けて
君は 透きとおる

手をはなすと 
夜空にのぼる 君
まるく蒼白く 遠くなり

星にも 海にも 露草にも
君は ほほ笑んでいる

ぼくは 時々
ひとり占めしたくなる
くろい雲になって
君を かくしている


posted by 水月 りら at 23:18| 詩/ポエム | 更新情報をチェックする

詩集「にじのはし」第3章 3

 トオビノ ツヨビ

アナタヘノ オモイ
サカナヲ ヤクヨウニ

トオビノ ツヨビデ

ユックリト 
スコシズツ 
セイジャクニ

トオビノ ツヨビデ

コガサナイヨウニ
ホンノスコシ コガシテ
トキドキ タシカメテ

ツキヒヲ カケテ
ホドヨク ヤイテ

コンナニ アナタガ
ソバニ イテモ

トオビノ ツヨビデ



  タビダチ


コイシニ ツマヅイテ
ツミカサナル カスリキズハ
アラシノ ケイケンヲ
ハグクンデイル

オオキナ タイヨウヲ アビテ
フカイ カゲヲ ダキシメヨウ

ツチヲ フミシメテモ
ソラハ フメナイ

チキュウノ 
ワズカナ カケラニ
タビヲ シテ
ナンジュウネンノ アシアトハ
フルイ スナニ マウ

スナカゼニ ナガレテ
ウチュウ イッパイニ
アシアトヲ バラマコウ

ネムッテイル ウブゴエノ
キオクヲ ホシクズカラ
ヒロイアツメテ




posted by 水月 りら at 23:16| ポエム | 更新情報をチェックする

詩集「にじのはし」 第3章  2


  終止符

泣きながら
夜を超えればいい

そう答えてくれていたのは
あなただった

百億の星と
千億の闇を

ずっと あなたのなかで
数えていたのはわたしだった

ふたつの命になって愛し合い
ひとつの命になったのは
終わりにしなければならないものに
終止符を打つためだったと
あなたは告げる

ダウジングにより揺れる
ペンダントのリズムから
あなたはわたしが
誰であったのか
教えてくれる

千億の星と
無数の闇を

なんでもないと言いながら
茨を超えればいい
そうして生きようとしていたのは
あなたとわたしがひとつになった
いまのわたし

遥かな遥かな過去から
愛し合ってきたひとは
この地球のどこにもいなくて
わたしの中の宇宙の
超意識に潜在するあなただった

濁った偽りの筋書きを
消滅させるために
わたしの死は何処までも
ユートピアであると
あなたは話してくれる

泣きながら暗黒を超えていた
この地球に愛をこめて
あなたと共に打つ 
約束の終止符を
  






  

  無色の言葉

言えない言葉
言えなかった言葉
星の数よりも多く
あふれ出るのに

喉に刺さった骨を
取りはらうかのように
ゴクンと呑みこんで
声にならなかった言葉が
無色になる

ありふれた言葉が
飛び交い 行き交う
そんな雑踏の影の陰で
無のまま葬られ
浮遊する
浮かばれない言葉が
悔恨を伝えようとする
風音にまぎれて
雨音に沁みこんで

昨日の色には
もどれない空に
雲がちぎれるように消えていく
明日の波を
知らない海に
口をとざした貝のように沈んでいく

無色の言葉の数々が
目のまえを 
はるか遠くを
限りなく彷徨いながら
気づかなかった本音を
知っていく

無色になるほど
本音であった
本音になるほど
透明度の高い
純粋だった、と



posted by 水月 りら at 23:13| | 更新情報をチェックする

詩集「にじのはし」第3章 1

赤蜻蛉

あなたの左指に
そっと止まったよ
あなたの右指の
廻る動きを見つめ
くるくるくるくる
空も地上も廻っている
目をまわして
真っ紅なまま
命乞いもしないで


  宝石箱

あふれるほどの
宝石の輝きに
満ちていなくても
たったひとつの
原石を持っていたい

からっぽに見える
空間だらけの
宝石箱に
たったひとつだけ
願っている原石

がらんどうの闇を
吸い込んでいる
ありあまる閑散から
したたる涙が
染み込んでいる

光ることよりも
照らすことを
夢に見る原石
時のつみ重ねに
静謐に輝く石

宝石箱には
たったひとつだけでいい
孤独を抱きしめ
ゆっくり磨かれる
いびつな原石
ひとつだけ


  休息

戦士は 疲れたら
天使の翼に抱かれ
鼓動に埋もれ
眠りにつく

荒らぶる濁流
狂う時間
ちくせきする労
ふさがない傷

どれほどの血が流れても
押さえる指のはらに
沁みこんで
翼のぬくみに
まもられる

むぼうびのまま
天使に 身をゆだね
戦士は 羽根をとじている
まぶたの裏側の
暗闇も こわくない

明るい朝に
羽根をひろげてゆくために
戦士は 無になる
いたいたしい記憶を
天使の手に なでられ
やぶれた皮膚を
縫いあわせ
休息する


  片恋

薄明かりに
うつむく芒の穂
夜風が撫でて
あなたへなびく
さやさやと

月を浮かべた夜露が
穂先にひかり
風にくだけ
泡沫(あわ)い涙は消えていく

千切れそうなほど
両手をのばし
かたむいて躰ごと
高鳴る波になる

むごんの微笑みに
待ちくだびれても
ここで揺れている
銀の大海原

たどれぬ流れに
しずむ唄
蟋蟀が
月影で啼いている


  凋落

次の風で 
離れていくよ
一本の枝から 
枯葉が落ちていく

もう 何も欲しくない 

時空の初まりに墜ちていく




一本の

あなたが あなたを削っていく
短くなっても削っていく
でこぼこになっても削っていく
すりへって 形をうしなっても
あなただった
たった 一本の



posted by 水月 りら at 23:09| ポエム | 更新情報をチェックする

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