2013年09月14日

水面

光がこぼれ落ちた水面は
世界のひと粒を 反射する
小さな一点の光景を
果てしなく底なしの
モノクロームの実像に変えてゆく
まるで 偽りを知らない光と影のように

水面に生まれ変わる
ひと粒の世界
ひとかけらの空
ひとにぎりの風景
右が左に 左が右に
方角をさかさまに
水のひとみに映るものを
鏡のように投影する

水中に泳ぐアカメダカの 
しずかなゆるぎに
ゆっくりと 添いながら
呑みこんだ 命のままに



posted by 水月 りら at 17:18| | 更新情報をチェックする

エプロンのポケット

エプロンのポケットには
あなたの歌が詰まっている
あなたの愛したメロディーは
ポケットから伝わって
口ずさむとあふれだす
しあわせな わたしへと

エプロンのポケットには
スパイス一本が配達される
甘いものにも辛いものにも
ひとふりする かくし味
ひとつまみの かくれた味が
甘さも辛さも引き立てて
ポケットいっぱいの
しあわせがいざなう
あなたの笑顔

エプロンのポケットには
天使のコインが眠っている
だいじなものばかりが
天使に守られて
だいじなぬくもりを
いつでも取り出せるように
天使のコインになって
待っている

エプロンのポケットには 
どこでも開く言葉の鍵を入れておく
あなたから届く言葉の卵
ポケットの中でずっとあたためて
卵を孵し愛をふりそそぐ
成熟するほど麗しくなる言葉
あなたに捧げる宝物

エプロンのポケットには
いつもいつも あなたを入れておく
お鍋にだし汁と野菜を入れて
一番美味しくなるように 
思い出したあなたと唄う歌
お鍋の中もグツグツ笑っている
エプロンのポケットに
あふれだす愛の魔法
しあわせの呪文は旨味になって
空っぽを満たしていく









posted by 水月 りら at 17:06| ポエム | 更新情報をチェックする

失くした翼

かつては大空を
飛び回っていたけれど
今はもう 片方だけ
翼をなくして
飛べない鳥がいる

ふたつの翼で空が飛べていた
そんな当たり前のことは
当たり前でなくなってから
見えない光のお蔭であったと
気づいていく

ひとつ失えば稲妻が一瞬に
大木を裂いてしまうような
激しい変化に歪められたのは
捨てられない過去の
偽りの輝きだった

失った翼の幻肢痛 
毎夜 疼くたびに
無い翼の拍動が蘇り
打ちひしがれては
在る体の全てを呼んでいる
ひと晩中眠れずに癒えない傷を
てのひらで撫でつづける日々

朝日に抱きしめられて鳥は
ほんとうの自分に
素直になっていく

「人に会いたくなるのに
人とすれ違いたくないの
人が恋しくなるのに
誰とも出会いたくないの
人と話しがしたいのに
人に見られたくないの
ここで 道行く人を見ているわ
誰にも見られない場所から
見ているだけでいいの」

少し笑って呟く鳥
飛べなくても見つけられるものもあるだろう
飛べないから見つかるものもあるだろう

心の傷がふさがっても
包帯は巻き続けているだろう
失って輝いた気づき
消えない傷痕に沈まぬように

ひと粒の涙がこぼれ落ちるほど
傷痕に巻かれた白い包帯は
光の勲章に変わっていく




posted by 水月 りら at 15:11| | 更新情報をチェックする

秋桜

秋雨に濡れる秋桜の群れ
芯のない細さゆえに
茎はかたむき うつむいて
雨を凌ぐ

空をめざし伸びていた
たかく見上げようとするほど
うなだれ 足元を見つめてしまう
細い茎の宿命に
花の微笑はよく似合う

強く根づく花妖精
折れない強さよりも
折れても 尚 咲き乱れ
折れる強さを知ってゆく
ありのままに弱く
風に吹かれて
ありのままに強く
雨に打たれて

愛しい人を待つために
色とりどりの花びらは
爪化粧(ネイル)を飾る
きよらかな貴女の爪になる
雨上がりを待ち焦がれて
純白の傘をさす
貴女のゆびさきにも











posted by 水月 りら at 14:38| | 更新情報をチェックする

木霊

山と山は 
呼び合っている
「ヤッホー」と 
遠くの山に呼びかけたら 
かならず
「ヤッホー」と 
返事が返ってくる

「ヤッホー」
応えている声が
いくつも いくつも
かならず
約束していなくても
かならず

形にあらわれなくても
姿が見えなくても
つながっているものは
木霊する

木の精霊が
心の糸に宿っている
見えない糸のつながりを
知らせる木霊の声

山の向こう
あなたを呼んで
返事をしているのは
誰かしら
くり返し くり返し

人間が深呼吸していても
山と山は呼び合っている
木霊が結ぶ
以心伝心



posted by 水月 りら at 14:09| | 更新情報をチェックする

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。


×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。