2013年10月04日

銀河伝説

尖ったナイフを
自分の胸に焼きつけるたびに
夥しい体液は蒼白に嘆き 
たったひとつのぬくもり見失う 
体液をただよう産声の
ふるえた涙から目を反らしていた   

だけど、いつから 
憶い出していたのだろう
遠いにしえの時空に 
約束されていたこと 
生まれる前に辿り着いていた
あの場所からわたしが
あなたに約束したこと

傷痕からしたたる涙が
百億あるのなら
百億の鼓動から
真実というあなたを
見つけられるでしょうか

与えられる星々の瞬きが
千億あるのなら
千億の静寂から
永遠(とわ)というあなたに
出逢えるでしょうか

過去の海を航海し
不治の痛みを和らげる潮騒の
きよらかな唄は跳ね返る
渦潮にまみれた天空の
知られざる扉をひらく
つらなる星雲の声なき響き
えがく未来の翼に
受け容れていくための
約束をしたわたし

流れ堕ちる星屑が
幾多にあるのなら
幾多に消えた光のかけらから
無限というあなたに
辿り着いていけるでしょうか

巡りまわる銀河の涙が
すべてのあなたから
数多に溢れているのなら
数多の手のひらを伸ばして辿り着く
あなたのすべてに








posted by 水月 りら at 19:15| | 更新情報をチェックする

とっておきの

音の女神の
なな色の鍵盤は
水瓶に眠る旋律の言霊
とっておきの

ドレミファソラシ
ドシラソファミレ
 
ゆびをすべらせて
なな色の鍵盤は
目覚めの旋律の泉になる
水瓶からあふれだし
奏でる夢想の雫

ゆび先でたたく
くろい鍵盤は
音の女神の黒曜石の髪に
秘められて響く
エキゾチックな影武者

きらきら星を追いかける
闇の墜落した魔の手に
盗まれたくろい鍵盤を
取り戻す音の女神
戦火を浴びて呼び名を
失った黒の鍵盤

みずたまのト短調は 
涙をぬぐうハンカチに
バタフライを奏で
オニキス色の冬は
しろい雪解けの 
銀の雫に衣を着せて
亜麻色の音符は
五線譜にとろける
珊瑚礁の光を舞い
水晶色の月の陽炎は
雨だれに虹の弦を
つま弾いて

初めての音楽が生まれた
何万憶年も遡る過去のこと
音の女神が捧げた十二の音色は
虹色の七つの音と
漆黒の五つの音の愛
途切れなく透き通る魂に
祈り続けている
とっておきの






posted by 水月 りら at 19:14| | 更新情報をチェックする

ぐうぜん

「ぐうぜん」っていったい何やろう?
どんな顔してるんやろうなあ
誰も見たことないという噂やで
ほんまぁ、そら、嘘やわ
まいにち「ぐうぜん」に出逢(お)てるで
庭でたんぽぽを見つけるのも
空に飛んでる鳥を見かけるのも
雨が降るもの止むのも
「ぐうぜん」やで
棚からぼた餅、これも「ぐうぜん」や
そやけど、わざわざ高い棚に
ぼた餅片づける人も変わった人やわ
このコトワザ考えた人かって
「ぐうぜん」に考えられたんやろうなあ
あの人に会えたのも「ぐうぜん」なんや
そしたら、なんでか
ちがう場所にいてもおんなじ時間に
おんなじこと考えていたりするんや
「ぐうぜん」は数珠みたいに
連なっていくんやなあ
「ぐうぜん」に話題が広がって
話に花が咲くんやから
「ぐうぜん」は芽が出る種みたいやなあ
「ぐうぜん」に助けられて
生きているのも「ぐうぜん」なんやろうなあ
死んでしまうのも「ぐうぜん」なん?
「ぐうぜん」に息絶えてしまっても
それは「ひつぜん」やったんやろうなあ
生きていたくても「ぐうぜん」に
生きられへんこともあるやろう
「ぐうぜん」は神業みたいなもんやなあ
出逢いは「ぐうぜん」やったとしても
「ぐうぜん」に離れていくことはあらへんで
そやから「ぐうぜん」に惹かれ合った芽は
水をやって肥料を与えて
暑いときには風を送って
寒いときにはお日さん当てて
「ぐうぜん」をはぐくんでいこうかな
「ぐうせん」に咲くのは花とは限らんで
だって、何が咲くのか分からへんのが
「ぐうぜん」なんや
梅の実と焼酎の出逢いみたいに
いつのまにかなじみ合って溶け合って
まろやかな琥珀色に熟成して
甘酸っぱさが芳しく漂って
思わずゴクンと唾を呑み込んでしまう
そんな「愛」をあたしは咲かせるよ





posted by 水月 りら at 19:12| | 更新情報をチェックする

雨垂れ

窓硝子をつたい
雨垂れは唄う
ぽつぽつと音色を綴る
雨粒は硝子に当たると
粒から一筋の線になって
流れてゆく
雫はいつも粒とひとすじの線の
ふたつの顔を持っている
いくつもの雨垂れが
硝子にぶつかりぽつぽつと
ころがる星屑のように
響く神さまの声
道しるべを唱える
ゆたかな調べ
人に届いていなくても
ありがとうと
言われていなくても
窓硝子に音色を降り注ぐ
あふれるほどの雨垂れ
夜空に落ちる
いくつもの流星のように
願っている
どこかの泥水に紛れても
土に染み込んでも
清らかな雨垂れだった頃の
過去を忘れない
天に帰りたくなり
水の粒はみずから蒸発する
ふたたび地上に戻るときには
雨垂れではないかもしれないと
音無き声で呟きながら
存在の幻も残さずに消えてゆく
少しだけ窓を開け
この指に落ちてきた
ぐうぜんのひと粒の雨垂れ
神さまの言霊になって
指の汚れを洗っている





posted by 水月 りら at 19:11| | 更新情報をチェックする

水化粧

舞い落ちてくる
あまたの別れ
水の鍵盤を叩く風に
ゆらめく枯葉の花筏

あの枝につながっていた
黄葉と紅葉の記憶は
波紋にながれて
ちりぢりになるまで
手をふる人のように
母に伝えている

(あなたはおごそかな冬を
ひとりで耐えてゆくのですね
凍てつく霧氷の悲哀を
だれにも打ち明けることなく)

このさだめをありがとう
水面の光沢に
ふたたび目覚め
望郷をうたう水化粧



(ポエム篇)

舞い落ちる
あまたの別れを浮かべた
枯葉の花筏
水の鍵盤を叩く風の
波紋にながれ
やがて ちりぢりになるまで
手をふる人のように
母の空に届けている
いのちをありがとう
望郷をうたう水化粧








posted by 水月 りら at 19:10| | 更新情報をチェックする

光と影

燃料タンクにつめられた
ガソリンの夢は爆発だった

形を破壊しようと
目論んでいたけれど
こわれない光と影

無限に流れ無限に生きている

掌につかめない空間で
平行線をたどる光と影

宇宙が生まれた瞬間から
二卵性双生児だった光と影



(詩集「一蓮托生」2009年5月発行:より)



  光と影


燃料タンクにつめられた
ガソリンの夢は爆発だった
時限爆弾は音のない世界に
仕掛けられていた
知らせてならない時刻を
取り戻さなければならなかった
光と影の存在は盗人には
聞こえることはないように
設定されていた
如何なるものも類似の呪縛に
溺れてゆくのだろう
形を破壊しようと
目論んでいたけれど
光と影はこわれない
光は護る
高次の闇が偽善に浸水しないため
影は強い信条を光から吸収して
光は影を 影は光を
高低を一対とする波動を
護っていた
音のある世界の暗黒は
いつも無傷を求めて弱くなる
だから光と影は音無き所から
爆弾の時限装置に耳を傾けて
平行線をたどり存在する
手のひらにはつかめない空間に
届けたいものたちのために
無限に流れ無限に生きている
爆発の行方を秘めて
伝わるものに伝えている
届けられる現象は
影だけが届くことはなかった
影を愛する光が届けられていた
宇宙が生まれた瞬間から
二卵性双生児だった光と影














(2013年の今日、4年前に書いた作品に書き加え、未完成だった原作を完成させました。)



完成はいつも未完成
可能性を求めて言葉に置き換えている
それが、あなたの詩
あなただけにしか書けない真実の
あなたの詩は、わたしの最愛の魂の源の言葉
あなたがわたしになって
わたしがあなたになって
詩のなかで未来永劫に生き続けていく
最愛の魂の伴侶のあなたと




posted by 水月 りら at 19:02| | 更新情報をチェックする

つきのなみだ

地上にあふれた ことばが
月にとどくとき
月は そっと
なみだをながす

ちいさな雑草
いっぴきのアリ
鳴きつくす せみしぐれ
枯れていく はっぱ
だまっている 貝殻
捨てられた 紙くず
とどこおっている 澱
うごかない てあし
話せない くちびる

ことばにならないけれど
ことばよりも とうめいな風のこえ

しずかな夜
月は耳をすませて
きいている
形にならない
ことばの影

それは 月ににじむ
むすうのなみだの沈黙 
そのしじまのために
月はくらやみにほほえみ
夜から薄れゆく
透きとおる光のために
月はなみだを
ながしている



posted by 水月 りら at 18:58| | 更新情報をチェックする

鏡の水晶

ぬくもりは太陽の種 
瞳に宿ると芽生える虹の花 
見つめた灰色の空に 
虹の雫を降り注ぎ 
雲を引き千切る 
不透明な澱に包まれている 
透明な太陽を呼ぶ瞬間 
金銀の波動が虹になる 
人の眼には映らない
純粋な心の輝きは 
金銀の星屑が散らばる虹を持つ
澱みを浄化するほど
美しく輝く人の霊力を
鏡になり水晶は映している



posted by 水月 りら at 18:57| | 更新情報をチェックする

千万ドルの夜景

目映さに憧れて
大都会は
あざやかな
渇く宝石

闇には
きらめく光が
似合いすぎていた

過疎地の
海岸に立ち並ぶ
巨大な湯沸しポット
ウランが茹でられて
発生する放射能
幾千万のイルミネーションの
豪華な楽園を支えている
やさしい泉のように
にこやかでありながら
秘かに毒になり
海に捨てられていた

奇形の魚が泳ぐ夜の海
水面の鏡にゆらゆら漂う
月の影は訊いている
嘘のない現象
海底からの淡い悲鳴
潮騒の予知夢の喘ぎ
卵を産んではならないと
怯えている

千万ドルの夜景は
泥酔した欲望をなぐさめて
はち切れるように美しい
星や月の光よりもきらめき
放射能を泡立てる
何も聴こえていない
無人になった記憶の在り処
溢れるほどの
人工の輝きだって
心から微笑んではいない





posted by 水月 りら at 18:55| | 更新情報をチェックする

2013年10月03日

華吹雪

つのる想い
あふれるほど
呼んでいた雪おこし
灰色の雪雲がやってきて
粉雪舞い落ちてくる
ひゅるひゅると鳴いている
冴ゆる夜風
花びらのように
白い闇が乱れ散る
浮き出る汚れを包む
おごそかな氷点下
その運命(さだめ)を限りなく
愛していたくなる
結晶は心のように
ひと粒ずつ異なるもの
妖精のように
衣をひるがえし舞い踊る
桜色のかすかな響きが
耳の奥を吹きぬけてゆく
その影は星が降るように
穢れた断片を洗い流している
雪という仮の姿になり
からっぽのアスファルトに
悔恨を積もらせて
捨てる思い込み
せせこましく走る
クルマの速度をゆるやかにして
白銀の路面は
走行音を消してゆく
忘れかけていた静寂の気配に
人は純白になれるのだろう
吹雪き始めた窓の外
曇りガラスに文字を書く
だれかに逢いたくなるほど
つのる想いにつもる雪
ゆび先にぬくもり灯るほど
天から迸る華吹雪





posted by 水月 りら at 16:10| | 更新情報をチェックする

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