2013年09月10日

シークレット

雨のない 日照りに
渇いていた 草花
速度のゆるやかな 
昼の終わり

いつまでも太陽は
眠らない
うしろ髪を引かれて
おしゃべりを続けていた
真夏の夕暮れの太陽は
誰よりもやさしくて

暮れない黄昏(とき)を
いつまで迎えることが
できるだろう

まなぬるいアスファルトの
ひび割れに沁みた言葉
ほんの少しの潤い
ふたりの雨がぱらぱら
夕陽の微熱に消えていく
見えない秘密の




posted by 水月 りら at 21:28| ポエム | 更新情報をチェックする

2013年09月03日

詩集「にじのはし」第3章 3

 トオビノ ツヨビ

アナタヘノ オモイ
サカナヲ ヤクヨウニ

トオビノ ツヨビデ

ユックリト 
スコシズツ 
セイジャクニ

トオビノ ツヨビデ

コガサナイヨウニ
ホンノスコシ コガシテ
トキドキ タシカメテ

ツキヒヲ カケテ
ホドヨク ヤイテ

コンナニ アナタガ
ソバニ イテモ

トオビノ ツヨビデ



  タビダチ


コイシニ ツマヅイテ
ツミカサナル カスリキズハ
アラシノ ケイケンヲ
ハグクンデイル

オオキナ タイヨウヲ アビテ
フカイ カゲヲ ダキシメヨウ

ツチヲ フミシメテモ
ソラハ フメナイ

チキュウノ 
ワズカナ カケラニ
タビヲ シテ
ナンジュウネンノ アシアトハ
フルイ スナニ マウ

スナカゼニ ナガレテ
ウチュウ イッパイニ
アシアトヲ バラマコウ

ネムッテイル ウブゴエノ
キオクヲ ホシクズカラ
ヒロイアツメテ




posted by 水月 りら at 23:16| ポエム | 更新情報をチェックする

詩集「にじのはし」第3章 1

赤蜻蛉

あなたの左指に
そっと止まったよ
あなたの右指の
廻る動きを見つめ
くるくるくるくる
空も地上も廻っている
目をまわして
真っ紅なまま
命乞いもしないで


  宝石箱

あふれるほどの
宝石の輝きに
満ちていなくても
たったひとつの
原石を持っていたい

からっぽに見える
空間だらけの
宝石箱に
たったひとつだけ
願っている原石

がらんどうの闇を
吸い込んでいる
ありあまる閑散から
したたる涙が
染み込んでいる

光ることよりも
照らすことを
夢に見る原石
時のつみ重ねに
静謐に輝く石

宝石箱には
たったひとつだけでいい
孤独を抱きしめ
ゆっくり磨かれる
いびつな原石
ひとつだけ


  休息

戦士は 疲れたら
天使の翼に抱かれ
鼓動に埋もれ
眠りにつく

荒らぶる濁流
狂う時間
ちくせきする労
ふさがない傷

どれほどの血が流れても
押さえる指のはらに
沁みこんで
翼のぬくみに
まもられる

むぼうびのまま
天使に 身をゆだね
戦士は 羽根をとじている
まぶたの裏側の
暗闇も こわくない

明るい朝に
羽根をひろげてゆくために
戦士は 無になる
いたいたしい記憶を
天使の手に なでられ
やぶれた皮膚を
縫いあわせ
休息する


  片恋

薄明かりに
うつむく芒の穂
夜風が撫でて
あなたへなびく
さやさやと

月を浮かべた夜露が
穂先にひかり
風にくだけ
泡沫(あわ)い涙は消えていく

千切れそうなほど
両手をのばし
かたむいて躰ごと
高鳴る波になる

むごんの微笑みに
待ちくだびれても
ここで揺れている
銀の大海原

たどれぬ流れに
しずむ唄
蟋蟀が
月影で啼いている


  凋落

次の風で 
離れていくよ
一本の枝から 
枯葉が落ちていく

もう 何も欲しくない 

時空の初まりに墜ちていく




一本の

あなたが あなたを削っていく
短くなっても削っていく
でこぼこになっても削っていく
すりへって 形をうしなっても
あなただった
たった 一本の



posted by 水月 りら at 23:09| ポエム | 更新情報をチェックする

2013年09月01日

詩集「にじのはし」第2章

七夕飾り

揺れる笹飾り
小さな短冊に
ひと文字の願い事
影、と書こう
光をささえる夢を見て



  追う

真夏の
蝉しぐれ
窓ガラスの
雨音きざみ
ポツポツと
追う
暮れるいのちを
鳴きつくす
蝉しぐれ
降りやみそうな雨を
追う
流れるだけのいのちより
流れぬくために
みじかい瞬間(とき)を
追う


  抜け殻

願い事を
抱きしめたまま
静止する
蝉の抜け殻

長い間
土に埋もれ
太陽の夢を見て
生まれ変わった
証のひとつ

漂う土の残り香は
羽を見送っていた
沈黙の置き土産



  蜩

遠くなる
あなたの面影に
鳴きくずれていた


夕暮れ
太陽が残した
かずかな茜色の光を
透きとおる声で
追いかけている

また、明日
逢えるだろうか

今日を惜しみなく
鳴き尽くす
限りある
恋しぐれ
蜩の


  向日葵

太陽は
あらいたての蕾を
あつく照らす
まばゆい光に
目覚めた向日葵は
太陽の
まっすぐな眼差しを見あげ
追いかけている大きな瞳
見あげる瞳をつぶさなかった
太陽の奇跡はあなたの魔法
あなたが輝くと
ついていきたくて
首をかしげているの

生きている間 ずっと
はるかな距離で
手をつなごうとして



  嫉妬(ジェラシー)

行き場を知った
火種が
何度も行き交いながら
気がつけば
炎の嵐は
骨の芯まで
あなたを烙印する

 捨てたいものばかりが
 生まれてきても
 葬りながら
 祈りに火種を点す

あたしに宿る
炎の涙
ジェラシーを焼き尽くす
あたしの燃え滓を
消し去っていたのは
あなたの炎の涙


  
  賽の河原で

賽の河原で
あたしは小石をつんでいる

つるつるだった小石は
いつのまにか砂まみれ
あたしという鬼に
崩れてしまう

つみかさねた形が消えて
その残照だけがまぶしくて
生まれた鬼は
子どものまま
小石をつみ続けている
生き抜いても 息絶えても
形にならないこの世界

つみかさならない小石が
数知れず散らばっている
かけらをひろう あたしの手
一生 かけらを探す
つぐないの手のひらを
鬼はなぐさめて
つんだ小石を崩している



posted by 水月 りら at 22:55| ポエム | 更新情報をチェックする

2013年08月31日

詩集「にじのはし」 第1章

  詩集「にじのはし」     


  あした あいに いくから

踏まれても踏まれても
笑って咲いている花の笑顔で

 あした
 あい
 にいくから

雨に濡れても
平気でスキップできる長靴で

 あした
 合い
 にいくから

千歩あるいて
まだ遠くなら万歩歩いて

 あした
 逢い
 にいくから

時をつみかさねるほど
最初に書いた言霊は新しく

 あした
 愛
 にいくから


  夜桜

くらやみも ゆめをみる
そっとひらく はなのゆめをみる

ちりゆくはなも ゆめをみる
くらやみにまいちる 
つきあかりのゆめをみる

やみにだかれて
はなびらは よみがえる
ひつつぶの ひかりに



  勿忘草

小さな花びらは
朝露を抱いていた

淡く光る水玉は
陽だまりに消えてゆく

誰も知らない
道のかたすみで

花びらと水玉の
小さなお別れが
たえまなく消えて

ふたたび
花びらに落ちる
一滴の露のために
雫は何ものこさない

ゆくえを告げずに
風に去りゆく
あなたに

空へ
願うがまま
空色になり
囁いていた

忘れないで


  
  枯れていくほど

庭の薔薇を一輪
花瓶に挿したのは
少しでも君を
ながめていたかったから

あざやかな時間が
ゆっくり流れていくように
ぼくは 毎日
水替えをしたけれど

薔薇は萎えはじめ
紅い花びらは
黒味を帯びてくる

ぼくは水替えを
やめられない

花びらが一枚一枚
テーブルに落ちてゆく
ぼくはその花びらを
捨てられずに
コップの水に
浮かべてみた

薔薇は
ぼくにうなずきながら
あたまを深く深く
垂れて

花は枯れてゆくほど
おじぎをする
ありがとう と


  
  八重山吹

しなやかな枝に揺れ
八重の花びら 金色に咲く

鮮やかな呼吸をくりかえし
光の呼ぶ声に 色濃く映る花(シル)影(エット)

実りを求めず ひらく花
時を忘れず ぬくもり目覚め

輝きあつめた 七重八重
約束のない明日に.育つ花

実らぬ花の絆は深く
咲き乱れ 無き実の祈りになる

結ばれる魂に逢いたくて
生まれるたびに 風に囁く貴女

  


  長雨

ずっと泣いていてもいい
くもり空もお陽さまも
かくしていたい

あなたと暮れていけるのなら
いつまでも降りやまないで

びしょ濡れの蝙蝠傘が
あなたと手をつなげるのは
雨の日だけ


  
  たんぽぽ

あなたをまっていたくて
いつのまにか
しろいわたげになってしまったね

あなたをおいかけたくて
そらをみつめて 
かぜにふかれたよ

みつからないように
とんでいく
わたげのすがたなら
あなたにあえるかしら



  抱擁

あなたのからだと
わたしのからだの
さかいめが
なくなってゆく


  
  空白

とうめいなガラスに いきをふきかけ
曇らせてみたくなる
指でたどって あなたをかいてみる

くもりガラスに アイシテル
その文字の空白だけが
透きとおっている




 

posted by 水月 りら at 23:43| ポエム | 更新情報をチェックする

2013年08月29日

おくりもの

風を贈る
  空を贈る
星の輝きを贈る
月の光を贈る
 太陽のまぶしさを贈る
  地平線を贈る
  水平線を贈る
雨のなみだを贈る
 虹のえがおを贈る
 
 
 

 いつ 生まれても
 いつ 命が終わっても

変わらないもの
あなたに贈る 


posted by 水月 りら at 21:20| ポエム | 更新情報をチェックする

2013年08月23日

折り梅

今日は 何日やったやろう?
明日は 何の日やったやろう?
ここへ 何しに来たんかいなあ?
よう 忘れてあかんのや
記憶の枝が 次から次に
折れていくんやろうなあ
そやけど 昔のことは
よう 覚えてる
あんたのことは 絶対に忘れへん
こんだけ よう忘れるようになっても
あんたのこと 大好きなんや
折れた記憶の枝に あんたが咲いている
折り梅と おんなじや

    *折り梅―折れた枝に花をつけること。生け花の手法のひとつ。


posted by 水月 りら at 21:35| ポエム | 更新情報をチェックする

2013年06月30日

アブラノ ハッカ

ミズヲ カケテハイケナイ
アブラカラ ハッカシタ ホノオ
ネツヲ クワエスギテ
モエアガル

ミズヲ カケテハイケナイ
ガスコンロヲ オフニシテ

トッサニ キイテイタノハ
アナタノ コエ

トッサニ
ナベノフタヲ スル
パット キエテシマッタ
ヒノ ウミハ トオザカル

フタヲ スルト
キエテシマウコトヲ
オシエテクレタノハ
マギレモナク ワタシノ 
センザイイシキニ ヤドル アナタ

タチドマレナイ ホノオヲ
ケスタメニ リョウテデ
ツヨク ダキシメテ
リユウト リクツニ
フタヲスル
キエテユクカラ

ミズニ ナガレルコトノナイ
キョコウト マボロシガ
アブラニ ハッカシテ
ミズデハ キエナイ
ホノオハ ソンザイシテシマウ

タスケテクレタ アナタハ
ホノオノ カナシミヲ シッテイタノ
ナミダヲ ヌグウヨウニ
フタヲシタノハ 
アイスル アナタダッタ




posted by 水月 りら at 22:08| ポエム | 更新情報をチェックする

2013年06月27日

長靴

余裕のある感触が好きだった
水溜りを駆けまわることも
水はねを気にしなくていいことも
好きだった
雪道のサックサックという足音も
大好きだった

大雪の町から長靴を履いて
電車に三時間揺られた
賑やかな駅には オシャレなブーツが
足早に過ぎていく
居場所のないコンクリートの階段に
響くカン高い靴音たち
路上を木枯しが吹き抜ける

だけど 
わたしの足は温められていた
あなたの内側から湧きだす熱が
骨まで包む
ほかほかと体の芯に語りかけている

あなたが あったかいよ

白い息を吐いたら
零れ落ちてきた 








posted by 水月 りら at 20:20| ポエム | 更新情報をチェックする

2013年06月15日

ポエム 5篇

  そらは

おほしさまが きらきら
ちいさいひかりで きらきら
まばたきしながら きらきら
ほら ぺちゃくちゃ
みんなで おはなししている
そらは おほしさまのおうちだね

おつきさまが ぴかぴか
まるいひかりで ぴかぴか
みちたりかけたり ぴかぴか
ほら きまぐれに
かたちをかえても にこにこ
そらは おつきさまのおうちだね

おひさまが ぽかぽか
あったかいひかりで ぽかぽか
おれんじいろの おはようと
りんごいろの おやすみと
ほら あめがふると
なないろのにじが できるよ
そらは おひさまのおうちだね





靄(もや)
 


なんおくもの瞬間を 
生き抜いたとしても
一秒先の答えは どこにもないだろう
理性化した感情の パラドックスに
すべての答えが 記されている
人間の感性と理性は相反するが
感性と理性の一体化の感情は
神から舞い降りてきたもの
感性を無視した紛い物の理性を
創り上げて人間は
靄に飲み込まれている






循環(リング)

食べたものの夢や記憶は 
脈打つ血の流れに 溶けて 
わたしのからだを 
ひとまわり 巡ってゆくから
満たされてゆく 
おなかいっぱいに



時計の針

時計の針は たえまなく 
追いかけ合っている
ひかりの朝も そよ風の午後も 嵐の夜も
愛し合っていても
愛し合っていなくても
時計の針は めぐりめぐる 
因果のように 追いかけ合っている



ハードル


生まれたままを生きていても 
生まれたままが逸脱であるのなら
歪んだ光は 何に屈折すればいいのだろう
僕らは 生まれたままにしか 生きてはいけない

誰かと比較するくらいなら
純粋な逸脱を選択するのが僕
虚構を創り出す観念がハードルを
ドミノ式に倒してゆく
純粋な歪みの問いかけは
紛い物には聞こえていない







posted by 水月 りら at 21:31| ポエム | 更新情報をチェックする

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。


×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。